そしてすぐ、自分を見つめる兵士たちに向かい、迷いを振り切るかのように大声で叫んだ。
「進もう、神々の待つところへ、われわれを侮辱した敵の待つところへ、賽は投げられた!」
兵士たちも、いっせいに雄たけびで応じた。そして、先頭で馬を駆るカエサルにつづいて、一団となってルビコンを渡った。紀元前四九年一月十二日、カエサル、五十歳と六ヶ月の朝であった。
どーも、山主です。
もうずっと昔に賽は投げられていたんだと思う。
そう、十年以上前から賽は投げられていたんだ。
「ここを越えれば、人間世界の悲惨。超えなければ、わが破滅」
僕はこの十年ルビコン川のそばで、渦巻く川の濁流にずっと恐怖を感じていたんだ。
僕は最近やっと気ずいたよ。
「ここを越えれば、人間世界の悲惨。超えなければ、わが破滅」
僕は今年ルビコンを渡る。
